海外投資、為替が心配ですか?

銀行や証券会社などで海外投資のファンドを購入するとき、為替リスクの説明を受けると思います。リスクという言葉は日本語では「危険性」と訳すことが多いですが、金融商品のリスクは「不確実性」いわゆる「ぶれ」の意味で使われます。すなわち為替のぶれによる「リターン」も含めて考えなくてはなりません。でも、例えば米国に投資してドルで増えても円高になっていたらどうしよ~(心配・・)と思ったことのある方は多いのではないでしょうか。

将来のことはわからないのが投資です。為替も全く同じです。うまい方法はないですが、気持ちを安定させる対処法を2つほど紹介させていただきます。

①為替ヘッジを活用する

個人で為替ヘッジをかけるのはハードルが高いですが、ファンドの中には最初から為替ヘッジをかけて運用する商品もあります。為替の影響を完全にゼロにはできませんがヘッジをかけることで為替の影響をほぼ気にしなくて良いようになります。

ただ、為替ヘッジにはコストがかかります。ざっくりと2国間の通貨の短期金利の差ぐらいとイメージしておくとよいでしょう。2023年8月時点で米ドルで5%以上、ユーロで4%以上の為替ヘッジコストがかかるので、年間それ以上に投資している資産が上がらないと日本円に直したときにマイナスとなってしまうのです。

下図の様に例えば対ユーロで日本円の方が金利が高ければコストとは反対に為替ヘッジプレミアムがもらえる(数年前の状態 ドル金利>円金利>ユーロ金利)投資妙味もあったのですが、現在のように円金利の低さが世界で突出している状況で為替ヘッジはあまり得策ではないかもしれません。

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②長期投資に徹する

これが一番おすすめの方法です。

下図はブロガーの投資塾ゆうさんがS&P500に10年投資した場合と20年投資した場合の収益を、為替による要因と株価損益による要因に分けて検証されたものです(円建てベース)。 さすがゆうさん!あまり見慣れない切り口なので詳細は下図表をじっくりご覧いただきたいのですが、ざっくりいうと20年の長期投資で考えれば、あの100年に1度と言われるリーマンショックを加味しても為替の影響は数パーセントであったことがわかります。

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日本経済の復活を信じたいところですが、いつか日本円に戻すことを前提に海外投資をするより、一生持ち続けるつもりで通貨分散をしておくというのも将来の保険的な意味で検討する価値があるかもしれません。

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