長期投資に必要な、気持ちの持ちよう

長期積み立て投資を成功させる気持ちの持ち方について秀逸なコラムがありましたので紹介させていただきます。

投資初期の下げ、耐える知恵を

世界株インデックスファンドなど低コストの投資信託に毎月コツコツ投資すれば、それなりの資産を築ける可能性は高い。ただ、現在のような株高の局面で長期積み立て投資を始めることは難しいかもしれない。短期的には上値を追う場面より、調整して下落する場面が多いかもしれないからだ。しかし、短期の下げにとらわれずに毎月定額を積み立てていくのが長期投資だ。3つの金融リテラシーが踏ん張る支えになる。

投資を始めて間もない時期は、インデックスの下落で資産が目減りすることもある。しかし、そこで挫折してはもったいない。目先、資産が100万円に到達するイメージがわかなくても、長期投資には「老後2000万円問題」など将来の課題を解決する力がある。まず、複利の力を知ることが、1つめのリテラシーになる。配当などの再投資で複利効果が生まれ、長期的に資産が指数関数的に増える可能性がある。

2つめのリテラシーは、足元のインフレ率よりも高いリターンを得るには、ある程度のリスクを取ってファンドなどに投資する必要があると知ることだ。インフレ下では預貯金などの安全資産は実質金利がマイナスになり、目減りしてしまう可能性がある。

3つめは株式の1つの銘柄に集中して投資するのではなく、インデックスのように分散投資することだ。マーケット全体のリスクは負担するが、安定したリターンを得られる可能性がある。

これから長期投資を始める人には、リーマン・ショックなどでファンド価格が大きく下落しても、めげずに継続した人の成功談は励みになるだろう。必要なのは投資の技術ではない。長期投資の初期段階で資産が目減りしたり、思ったように資産が増えなかったりしても、諦めずに継続する力だ。

(岡山商科大学教授 城下 賢吾) 2023.7.27 日本経済新聞 朝刊

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